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2017.10.16.

離婚調停とは?離婚調停の流れと注意点3つ

昨年末、芸能人の夫婦の離婚調停が成立したと話題になっています。では、この「離婚調停」とは何でしょうか?

離婚調停とは?

離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員会(男性調停委員1名、女性調停委員1名、裁判官1名)において、離婚の条件について一緒に話し合いを進める手続のことです。

離婚の裁判は、調停での話し合いを経た後でなければ、提起することができないことになっているため、離婚調停は、離婚訴訟を提起するための条件の一つでもあります(調停前置主義)。

離婚調停の流れ

①申立

相手方住所地を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

②調停期日

調停の申立から、1か月~1か月半くらい後に、調停の初回期日が指定されることが一般的です。調停の日には、調停委員とともに、必要に応じて、裁判官と協議してその指示を受けながら話し合いを進めます。

調停の日に裁判所に行くと、最初は、申立人が調停室に呼ばれます。申立人は調停委員に対し、離婚したい理由や希望する離婚条件などを話します。申立人が退室すると、次に、相手方が調停室に呼ばれます。相手方は、調停委員から、申立人が話したことや申立人の希望する離婚条件などを聞きます。これを聞いて、相手方は、調停委員に自分の意見を話します。

調停委員には守秘義務がありますから、調停室で話したことが、外部に漏れることはありません。
このように、申立人と相手方は交互に調停室に呼ばれて調停委員と話をしますので、お互いと相手と直接話すことは基本的にはありません。相手が調停室に呼ばれている間は、自分は待合室で待機します。申立人待合室と相手方待合室は少し離れたところに設けられていて、できるだけお互いが顔を合わせないように配慮されています。

③調停の継続

1回の調停の時間は、だいたい2~3時間くらいです。その後は、だいたい月に1回くらいのペースで進みます。調停委員や、双方当事者の予定がなかなか合わない時には、次の調停期日が2カ月後になることもよくあります。

④調停成立 or 調停不成立

<調停成立の場合>
当事者双方が、離婚することを含めて離婚条件に合意できれば、離婚調停が成立します。
調停成立のときには裁判官が調停室に来て、当事者2人の前で、当事者が合意した内容を読み上げて双方に間違いがないかどうかを確認します。2人とも間違いない旨を答えると離婚調停は成立となります。なお、戸籍上の離婚日は「離婚調停が成立した日」です。

<調停不成立の場合>
当事者双方の意見に大きな隔たりがあり、これ以上話し合ったとしても合意形成が困難であると判断されると、離婚調停は不成立になります。
離婚調停が不成立になると、次は、離婚したい方の当事者が離婚訴訟の提起を考えることになります。なお、「不成立」と「取下げ」は異なります。離婚調停の申立の「取下げ」をすると調停前置を果たしたことにはならず、直ちに離婚訴訟をすることはできません。

離婚調停の注意点3つ

1. あくまでも話し合いであること

離婚調停は、あくまで、調停委員会が離婚の条件についてお互いの意見を整理・調整し、話し合いを手伝ってくれる制度にすぎません。当事者双方が合意できなければ、調停が成立することはありません。相手方に対して、離婚や離婚条件に合意するよう強制することはできません。

2. 調停と裁判の関連性調停委員は、中立の立場であって、あなたの味方ではない

調停委員は、中立の立場で当事者双方の要望を調整し、できるだけ調停を成立に導くことが仕事です。当事者の要望が、法的に難しいことであれば、裁判官との評議の上で「それは法的には難しいです」と言われることはあります。一方で、「あなたはこういう請求もできますよ」と、一方当事者に有利なことを教えてくれることはありません。

法的な観点から、あなたに有利なことを助言し、あなたに有利に話し合いを導くことを考えるのは、あなたが依頼する弁護士です。離婚調停を弁護士に依頼するかどうかはともかく、事前に法律相談は受けておいた方がよいでしょう。

3. 調停と裁判の関連性

離婚調停と離婚裁判は、別の手続です。ただし、「調停の際に主張していたこと」と「裁判の際に主張すること」には、一貫性・整合性が要求されます。矛盾した内容の主張をすると、その主張には「信用性がない」と判断されます。

従って、調停段階から訴訟になる場合のことを見据えて、主張・立証は丁寧にしていく必要があります。

まとめ

当事者同士で話し合いができないとき、第三者(裁判所)が話し合いを手伝ってくれるという点で、離婚調停を利用することにはメリットはあります。なにより、離婚訴訟をするには、離婚調停が不成立になったというプロセスが必要です(調停前置)。

調停の際のひとつの言動をもって、その後の離婚訴訟が直ちに有利・不利になるということはあまりありません。もっとも、主張の一貫性・整合性や証拠資料の提出など、調停時においてもその後の展開(=裁判で見込まれる進行)を意識して進めることが大事な場面があります。

あらかじめ弁護士の法律相談を受けることにより離婚調停の準備を事前に十分整えておくことは、とても大事なことです。

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