田中・大村法律事務所

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2017.12.10.

【離婚事例3】妻が夫へ子の引き渡しを請求して認められた事例

子を置いて1人で家を出ることを強いられた妻が、夫へ子の引き渡しを請求して認められた事例についてご紹介します。

1:相談内容

相談者:女性(30代 当時 専業主婦)

相談内容の概要は、「ごく些細なことで夫婦喧嘩になり、口論の末、夫から家を追い出されてしまった。子は3人(5歳、3歳、1歳)いるのだけれど、一番上の子だけしか連れて出ることができなかった。下の子らが心配で、何とか連れ戻したいのだけれど、どうすればいいか。」というものでした。

2:解決までの道のり

この事件でのポイントは、「相談から申立てまでのスピード」でした。
相談をお聞きしたのち、早々に、家庭裁判所に対し、「監護者指定及び子の引渡し」の保全及び本案を申し立てました。個々の事案の具体的な事情にもよりますが、“子の引渡し”を実現するためには、この方法によることが一般的です。

相談をお聞きしたのが、とある月の3日。
裁判所への上記申立てをしたのが、その月の8日でした。
このスピード感(相談から5日後に申立)が、良い結果に繋がりました。

審理における争点は、「別居前の主たる監護者はどちらか」、「現状の監護の安定性の優劣」、「保全の必要性の有無(※)」などでした。
相手方(夫)からは、「妻は専業主婦だけれども、家事・育児は全くしない。」とか、「別居前から子らの世話はもっぱら自分と自分の両親がしていたので、妻がいなくとも監護状況には全く問題がない」などの主張がなされました。

こちら(妻)からは、「家事・育児は主として妻が担っていたこと」、「子らは心身共に健全に成長していること」、及び「1歳の子は特に監護上、母親を強く必要とする状態であること」を強調して主張し、通知票や保育園との連絡ノートなどを参考資料として提出しました。

一般に、審理がある程度進むと、裁判官は徐々に心証(≒優劣についての認識)を形成していきます。本件では、妻側が勝勢であると考えたであろう裁判官が夫に対して、その心証を適切に開示してくれたのだと思います。これにより、夫の気持ちは、「仕方なく子らは引き渡すが、その代わり、子らと定期的に会う機会を確保してほしい」という方向にシフトしていきました。

最終的には、「子らを任意に引き渡す。その後、月1回程度の面会交流を認める」という和解が成立し、相談から約5か月後、無事に子らを取り戻すことができました。実質をみれば、こちらの勝訴的和解でした。

3:解決のポイント

子の引渡しの「保全」申立で大事なことは、本案で相当期間をかけて審理をしていてはダメ、仮の決定でもいいから引渡しをしてもらわないと子にとって良くないこと(=これを「保全の必要性」と言います。※)を、いかに説得的に伝えるかです。

ここで、「相談から申立てまでのスピード感」が重要な意味を持ってきます。

例えば、子らと引き離されてから3ヶ月~6ヶ月も経過してから申立てをして、“早く連れ戻さないと子らにとって良くないんです”といくら言っても、説得力がありません。そう聞かされても、いったいこの数カ月間何をしていたんですか、となります。

他方、「別居→すぐに弁護士へ相談→すぐに申立」という事実経過であれば、上記で述べた「保全の必要性」は主張しやすくなりますし、その主張は自ずから説得的にもなります。

お困りの方へ

子の奪い合いで何か困った際は、当法律事務所にご相談ください。
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