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2016.7.30.

相続財産の分配方法と法定相続人の範囲

遺言書の有無次第で、相続財産の配分や手続きが異なります。
通常、遺言がある場合は「遺言相続」となり、遺言がない場合を「法定相続」となります。相続を始める際、まずは遺言書の有無を確認しなければなりません。

遺言相続

「遺言相続」は、被相続人が遺言を残していたとき、それに従って相続をする方法です。
遺言は、民法で書式が厳格に定められており、遺言書として必要な要件を満たしていなければ無効となります。

法定相続とは

「法定相続」は、被相続人が遺言を残していないため、民法で定められた方法により遺産を相続する方法です。
遺言がなければ、遺産は相続開始(被相続人の死亡)と同時に、共同相続人の共有のものとして扱われます。

法定相続人の範囲と遺産分配

法定相続人の定義と遺産の分配方法について、民法では下記の通り定められています。

〔法定相続人の範囲〕

被相続人の配偶者(内縁は含まない。)は常に相続人になります。その次に①子②直系尊属(父母・祖父母など)③兄弟姉妹の順番で相続人になります。
被相続人の子が、被相続人よりも前に死亡していた場合、被相続人の孫が代襲で相続します。
同様に、兄弟姉妹が被相続人よりも前に死亡していた場合、兄弟姉妹の子が代襲します。

〔法定相続分〕

【第1順位:配偶者と子】
配偶者が全相続財産の1/2を相続します。
残りの1/2を子が相続します(子が複数名いる場合は1/2を頭割りした分を相続。)例えば、子供が3人なら、各6分の1ずつとなります。
被相続人に配偶者と子がいる場合、直系尊属と兄弟姉妹は相続できません。

【第2順位:配偶者と直系尊属】
被相続人に子がいない場合、配偶者は2/3を相続します。
そして残りの1/3を直系尊属が相続します(直系尊属が複数名いる場合は1/3を頭割りした分を相続)。

【第3順位:配偶者と兄弟姉妹】
被相続人に子も直系相続人もいない場合、配偶者は3/4を相続します。
残りの1/4を兄弟姉妹が相続します(兄弟姉妹が複数名いる場合は1/4を頭割りした分を相続)。
片親違いの兄弟姉妹がいるときは、被相続人と父母を同じくする兄弟姉妹の1/2を相続します。

【子が被相続人より前に死亡している場合】
子の子(被相続人の孫)が代襲相続します。

【兄弟姉妹が被相続人より前に死亡している場合】
兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)が代襲相続します。

法定相続人が存在しない場合

法定相続人がいないときは、家庭裁判所による相続財産管理人の選任が行われます。
相続財産管理人は、調査して相続人がいないことを確認します。
被相続人と特別な縁故があった人は、法定相続人でなくても家庭裁判所に財産分与を申し立てることができます。

相続できない法定相続人とは

以下のような法定相続人は相続権がなくなります(相続欠格)。
・被相続人を殺害した人
・被相続人を強迫して遺言書を書かせた人
・被相続人の遺言を偽造した人
他にも、相続人に対する虐待や、著しい問題行動が確認できた人についても、家庭裁判所へ推定相続人廃除の申し立てができます。
※必ず家庭裁判所に「推定相続人廃除の請求」をしましょう。

遺産を相続したくない場合

被相続人が借金などの債務を返済しないまま死亡した場合、その債務も相続の対象となります。もしこれらを相続したくなければ、相続の放棄ができます。
相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄(または限定承認)の申し立てをしなければなりません。
(家庭裁判所に申請してこの期間を延長できます)

〔単純承認〕

被相続人のすべての相続財産を相続することを「単純承認」と言います。
相続放棄を希望している場合は、家庭裁判所に申し立てをしなければ単純承認とみなされてしまうので注意しましょう。

〔限定承認〕

相続財産の内訳がプラスかマイナスかわからず、相続で得られたプラス財産の範囲内で被相続人の債務(マイナス)を弁済し、尚且つ債務超過でも相続人固有の財産で弁済しなくてもいい「限定承認」という方法で相続することもできます。
単純承認と同様に、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。

〔相続放棄〕

相続財産の一切を相続しないことを「相続放棄」といいます。
相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ることで、相続人から除外されます。

お困りの方へ

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